上司と僕の4つの人格(全員初老以上)

「君はブログを始めた方がいい」

 

今日、上司に言われたことだ。

そして、この上司は今日仕事を退職した。

平日はロボットのように働き、休日はキックボクシングをやっている変態だったが、彼の言ったことは正しかったのかもしれない。

僕は思考を言語化できないという課題があったからだ。

始めて恋を知ったロボットがその恋心を言語化できないように。

愛されないで育ったヤンキーが始めて人に抱きしめられたときのように。

僕が思考を言語化できているのは「うまい!」「腹減った」「疲れた」「おっぱい柔らかい」の4ワードだけだ。

ブログを書くのは思考を言語化するためのトレーニングのためである。

 

「またあんたそんなこと言って。どうせ続かないんでしょ?」

僕の中の第2の人格である純子が言った。

「前に彼女にフラれた時に買ったギターも、友達に勧められて始めたゴルフも、モテたいって始めた筋トレも、全部すぐに辞めちゃったじゃない」

純子は常に厳しい言葉を僕に投げかけてくる。

「うるせえ!45のババアが!サッサッとクタバレ垂れ乳首!」

僕は純子を親しみを込めて「垂れ乳首」と呼んでいる。もしくは「美魔女と呼ばれたいだけの豚」と呼んでいる。

 

「お金もないのにそんなことをしてる暇があるのかい?」

僕の第3の人格である文雄が言った。

文雄は56歳の男性で妻と離婚した上に親権も取られ、毎月の養育費を送る生活をしている。

文雄はその歳で未だに真性包茎の人を馬鹿にして笑う癖がある。ちなみに彼は仮性包茎だ。

 

「やりたきゃやらせればいいさ」

僕の第4の人格である清重が言った。

清重の歯は全てなく、毎日大量の耳くそが取れる。

寿司屋に行くといなり寿司しか食べないので職人から嫌われてることで有名だ。

 

「そうよ、坊やの好きにやるのが一番なんだから。私は応援してるわよ」

僕の第5の人格であるジェニファーが言った。

ジェニファーは僕を後ろから抱きしめて頭にVカップの巨乳を押し付けてくる。

ジェニファーは今年で86歳になる。

 

僕は立ち上がり彼らに「ありがとう」と呟いた。

彼らは笑顔で僕を見送っていく。

辛い時、悲しい時、挫けそうな時、彼らが僕に勇気を与えてくれる。

自分よりクズな人を見ると落ち着く。安心できる。また明日からもやっていける。

 

彼らは何も生み出さない。有益な情報をくれることもない。彼らから学ぶことは何一つない。

そう彼らは僕である。

僕が頑張らないと彼らも変われない。変わらない。

 

僕はこのブログを使って頭の中にあるグチャグチャを整理していこうと思っている。

いまこれまで書いたことで整理されたことは一つもない。思考を言語化するトレーニングどころじゃない。思考そのものがダメだったようだ。

 

テレビではスタンドバイミーが流れている。

いまちょうど死体を見つけたシーンだ。

この映画の良さを言語化することもできない。

いつかスタンドバイミーの良さを言語化できるといいなと思う。

 

上司よ見ているかい?

僕は一生懸命ブログを書いてるよ。